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漫画「聲の形」全7巻読み終わった感想。※重大なネタバレ有なので、気になる方は注意!

聲(こえ)の形、かにじゃありません。

今更ながら、漫画「聲の形」を読み終わったので、感想をまとめます。いろいろなことについて考えるきっかけをくれる漫画なので、興味がある方は読んでほしいです。内容について深くは触れませんが、重大なネタバレがあるので、気になる方はここでブラウザバックを強く推奨します!

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聲の形感想まとめ

・フィクションだから読めた

・いじめや障害のある世界、汚い大人

・恋愛の漫画ではなかった

・これだけの表現ができる作者の大今良時先生はすごい

・過去の過ちを取り戻せるかということ

コミュニケーションの形

聲の形(1)

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聲の形(2) (講談社コミックス)

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映画『聲の形』DVD

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フィクションだから読めた

扱っている題材がいじめや障害といったものなので、「君の名は。」や「君に届け」のように読み終わって気分良い~!となるような物語ではないと感じました。人それぞれ生きてきた経験の違いで感想が180度変わってしまうのではないかと思います。

僕自身は漫画の中で出てくる経験をしたことはありませんが、被害者側の気持ちはとてもよくわかってしまいます。だからこそ、この物語を簡単に良かったとは言えませんでした。でもコミュニケーションは必ず必要なもので、どう解決していくかということは非常に大きな問題だと思うので、とても意味のある漫画でした。

恋愛というよりかは青春模様

パッと見、恋愛漫画のような感じを受けましたが、実際読んでみると恋愛要素よりも登場人物たちの人間模様が描かれている漫画でした。学生だし、良く言えば青春模様とも言えるかな。

漫画という動かせない世界の中で、手話を知らない読者にも分かるように手話を表現したり、耳の聞こえない世界を表現したりする作者は本当にすごいです。言葉なしで感情を表現できることに感服。

過去の過ちは消せるかということ

読んでいて気になったところは、過去の過ちというところです。

主人公が小学生時代にしたいじめという大きな過ちで、主人公や周りの人々が傷つきます。その後、主人公が大きな後悔をして、償おうとするところから物語が始まります。

その中でヒロインのお母さんのこのセリフが印象的でした。

あなたがどれだけあがこうと

幸せだったはずの硝子の小学生時代はもどってこないから

 聲の形 第2巻より

想い。過去は変えられませんし、傷つけた事実も消えることはありません。これだけは絶対です。でも、このセリフを言っているのはヒロイン本人ではなくヒロインのお母さんで、気持ちを代弁しているわけでもないので、勝手に決めつけをしているだけなのです。実際ヒロイン本人は憎んでおらず?許せています。それを周りがとやかく言っても良いものか……。ただそうは言っても親心としては本人の意思関係なく許せないという気持ちも分かるなぁ……

傷つけられた事実は消えないけど、傷自体は本人次第で消えることもあります。本人が納得しているのなら尚更問題ないと思ってしまいます。許すことが絶対に良いことじゃないし、許さないことも悪いことじゃない。絶対に許せないことってありますから。周りの意見も大事ですが、因果応報、自業自得、それを決められるのは本人の気持ちだけじゃないかと思うのです。

哲学。

コミュニケーションの形

この漫画の一番のテーマはタイトルにもなっている「こえ」です。この「こえ」は「思い」と表現されるものだと思います。ヒロインは声でのコミュニケーションができないので、思いを伝えるのが難しいという話かと思いましたが、そうではないんですね。本質的には耳が聞こえるか、声が出るかどうかは重要じゃない。

声というのはあくまでツールであって、大事なことは相手の思いを知ること。耳が聞こえて、声でコミュニケーションできる人たちでも、相手の思いを理解できているようで理解できていないことが往々にしてあるのです。

ちゃんと自分の思いを表現して伝えて、ちゃんと相手の思いを理解できるか。これが一番重要。

思いを伝え合って、すぐに理解し合えれば一番いいのですが、そう簡単にはいかないもどかしさ。この大きな壁にどう立ち向かっていけばいいのか、ということについて考えるきっかけをくれる漫画だったと思いました。

まとめ

正直この程度の文章だけではほんの一部しか触れることができないぐらい、作者の言いたいことや考えるべきことがとても多い漫画でした。20代という大人が読むとどうしてもいろいろと考えさせられてしまいます。高校生とかだとどういう感想になるんでしょうか。気になりますね。

最後に、

自分の「こえ」は、伝える努力をしないと簡単には伝わらないし、相手の「こえ」も努力しないと全部を知ることはできない。声だけ伝えて伝えた気にならないようにする。

人生の教訓になりました。